2025.04.07

誰も知らない空白のキロク。~プロローグ・異変~

誰も知らない空白のキロク。~プロローグ・異変~

第一調剤薬局とスポンサー契約を結んだフットサル選手の仁部屋和弘です。これから第一調剤薬局のオフィシャルサイトにコラムを書かせていただきます。

さて、どんな内容のコラムにしようか…そんなことを考えてていたとき、「あの頃」の記憶が蘇ってきました。

これまで取材のオファーがあっても断りつづけてきた、誰にも話していない「空白のキロク」を皆さんに自分の言葉でお伝えしたいと思います。

あれは、世界中が新型コロナウイルスの脅威に怯えていた2020年1月のこと。
誰も知らない私にとって、空白の9ヶ月間の始まりでした。
それは、誰にも知られることなく、私が難病と向き合っていた時間です。
わずか9ヶ月かもしれない。でもそれがフットサル選手としてだけでなく、
大切な家族を持つ父親としての「今」につながる大きな転機となりました。

以前は、眩しい光の中で、皆さんの温かい声援に包まれる日々を送っていました。プロフットサル選手として、喜びや汗、そして夢をチームメイトと分かち合う毎日。コートは、自分にとって情熱を燃やす場所であり、フットサルは私の人生そのものでした。日々、自分の限界に挑み、応援してくださる皆さんの期待に応えたいと願い、勝利の喜びを分かち合っていました。しかし、そんな日々は、ある日、静かに終わりを告げました。

2020年1月25日、愛知でプレーオフの決勝が開催。試合を終え、大分に帰ってきて2日が経った頃、身体に違和感を感じるように。始まりは、少し熱っぽいと感じる、いつもの風邪かなと軽く考えていました。けれど、何日立ってもなかなか熱は下がらず、体はだるさは酷くなるばかり。今まで感じたことのない倦怠感に襲われました。何かおかしい…自分の体の中で、何か得体の知れないものがゆっくりと、けれど確実に蝕んでいる。アスリートとして自分のコンディションには人一倍敏感だからこそ、そう感じました。病院のドクターも最初は心配ないと仰っていましたが、私の体は、静かにSOSを発して続けています。まるで、深い静かな森の奥で何かが忍び寄ってくるような不安と恐怖。

やがてこれまでに経験したことのない症状が現れました。痺れが少しずつ指先から、膝へ、そして全身へと広がっていきました。体は、まるで重い鉛のように、思うように動いてくれません。あれほど毎日、考え続けていたフットサルのことも忘れてしまうほど体調が悪い。モノクロームの風景のような時間の中、自分の弱さと向き合いながら、何度も心の中で問いかけました。「もう、アスリートとして終わってしまうのだろうか?」と。

今まで語らなかったことをキロクとしてお伝えしたいと考えたのは、あの頃の自分と同じようにさまざまな病と闘っている方々に、少しでも希望の光を届けたいという願いからです。私が感じたこと、考えたことを、飾ることなく、正直に。病名を知ることさえ怖かった日々から、再びピッチに立つまでを、全10回に分けてお伝えしていきます。

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