第一類医薬品 販売保険薬局の役割と必要なスキル
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2025.12.10
12月に入ると一気に空気が冷たく乾燥してきます。気がつくと手がカサカサ、顔がつっぱる、かゆみが出て眠れない……そんな「乾燥肌」の相談が薬局でも増える時期です。 乾燥肌は冬だけの一時的なものと思われがちですが、実は肌のバリア機能の低下が進んでいるサイン。放っておくと湿疹やひび割れなどの皮膚トラブルにつながることもあります。
皮膚の一番外側には「角質層」と呼ばれる薄い膜があり、水分を保ち外からの刺激を防ぐバリアの役割をしています。ところが、気温と湿度が低下するとこの角質層から水分が蒸発しやすくなり、肌内部の脂質(セラミドなど)が減少してしまいます。また、暖房による空気の乾燥や、熱いお湯での入浴・洗顔、過度な石けんの使用なども皮脂を奪い、さらに乾燥を悪化させます。 高齢者では皮脂腺や汗腺の機能が低下しているため、特に腕やすね、背中などにかゆみを伴う「乾皮症」が起こりやすくなります。
入浴はぬるめのお湯(38~40℃)で短時間に
熱すぎるお湯は皮脂を奪ってしまいます。石けんも「洗浄力の強いボディソープ」より、「低刺激・保湿成分入り」を選びましょう。
入浴後は10分以内の保湿ケアを!
肌が少し湿っているうちにワセリンやセラミド配合のクリームを塗ることで、うるおいを閉じ込められます。
室内の湿度を保つ
加湿器の使用や洗濯物の室内干しなどで湿度を50~60%に保つと、肌にも呼吸器にも優しい環境になります。
衣類にも気配りを
ウール素材は直接肌に触れるとかゆみを起こすことがあるため、綿素材の肌着を重ねるなど工夫しましょう。
乾燥によるかゆみや赤みが広がっている場合、単なる乾燥肌ではなく「乾燥性皮膚炎」になっていることがあります。この場合は保湿剤に加え、炎症を抑える外用薬(ステロイド軟膏など)が必要になることもあります。自己判断で市販薬を使い続ける前に、皮膚科や薬剤師に相談することをお勧めします。 また、糖尿病や甲状腺の病気が背景にある場合もあるため、全身的な症状があるときは早めに受診しましょう。
薬局では、症状に応じた保湿剤(ワセリン、尿素、ヘパリン類似物質など)の選び方をお手伝いできます。塗り薬だけでなく、肌の健康を支えるビタミンB群や良質な油脂の摂取についてもご相談ください。 冬の肌トラブルは、日々のちょっとした工夫で防ぐことができます。早めのケアで、春を迎える頃には健やかな肌を取り戻しましょう。
薬剤師 水 八寿裕